ハジマリ

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「ですが…」 「いいんんですよ刑事さん。私はああゆう若いルーキーが頼もしく見えてしまう性分でして、応援してやりたいんですよ。まぁ、さすがに店を散らかされたのは嫌なんですけどね」 思わず私は頭がさがる思いだった。 優しい、いやこの人は心が広い人だ。 しかも人を見るのがうまい人なのかもしれない。 おそらく元刑事だったのだろう。 雰囲気でわかる。 「すみません私の山崎がご迷惑をおかけして」 「いいんですよ。彼も相当悔しかったんでしょうなぁ。何があったのかは大体わかりますよ」 「というと?」 マスターが微笑んで私に話を続ける。 「事件が迷宮入りしたんで悔しい思いが彼には強かったんですよきっと」 「私も同感です。この仕事になってもう私は20年くらいがたっています。山崎と同じようにとても悔しい思いです。ですが私はそんな事であきらめたくないです」 自分の気持ちは確かなものだ。 あの悔しさは忘れない。 彼女を救うことはできなかった。 後悔はある。 でもそれだけじゃ意味がない。 悔しいのではなく、突き止めるのだ。 この事件には何か裏があるはずだ。 まず行方不明の彼女の関係者を探さなくては。 プライベートでの捜査は人生で初めてだ。 仕事では今は捜査ができない。 有給と上司に言われたが、おそらく上のどこかで指示があって、私はたぶん数日後にこの世の闇に葬られることだろう。 おそらく最低でも次の日だ。 長年の勘と事件のにおいがする。 急がなくては。 私はマスターに頼みごとをした。 「マスターお願いがあります」 「なんですかな現役刑事さん?」 にこやかなマスターの表情はなく、刑事の真剣な表情とまなざしになっている。 私もこんなかっこいいマスターになれたらいいなと思いつつ頼みごとを話す。
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