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「私は今からある事件の捜査をします」
「ある事件とは?」
「すみませんこの事件はまだ発表されてないので言えないです」
「そうですか。すみません刑事さん」
「こちらこそすみません。ただ言えることは、ある事件は実は何か裏があることだけです。このことを私は知ってしまった。全部ではないです。まだほんの断片的なものですが、非常に危険な立場にいます」
「なるほど。つまり刑事さんは何かとてつもない事に首を突っ込もうとしているのですね。そして私は、あなたと関わってしまったから早く隠れたほうがいいというわけですな?」
マスターが腕を組む。
迷っているのは明白だ。
「すみませんマスタ=」
「いや、いいんだ刑事さん。考えはしたんだがいきなりだし」
「私はマスターの命が危険にさらされる事を何とかしたいんです」
「そういわれてもねぇ…。私にはこの店と共に残りの余生を暮すことにしたんだ。気持ちは変わらないんだ。わかってくれ」
マスターが申し訳なさそうに頭を軽く下げる。
マスターは頭を上げたのちに話を続けた。
「早く逃げるんだ、たぶんあんたが言ってる追ってはもうここにいるかもしれないぞ」
「ッ!?」
マスターの言ったことに動揺が隠せない。
マスターは動揺している私を静止させ話す。
「おそらくだが、刑事さんが座ってた席から一席離れた窓際の客だ。注文はおろそか水も一口飲んでいない。怪しすぎる……」
「男ですか?女ですか?人数は?」
焦る気持ちをどうにか落ち着かせ勇気を振り絞り尋ねる。
「一人は男、紺のTシャツをきてサングラスをしてる。もう一人は女、どこにでもいそうな服装をしてる割に似合わない帽子をかぶってる」
マスターはレジカウンターの下に手を伸ばし、さり気なく銀色に光るものを私に見せた。
リボルバーだ。
しかも大型のM500だ。
口径はマグナム弾、一発で人を死に追いやることができる大型拳銃だ。
装弾数は6発、リボルバーの特徴ともいえる。
回転式のシリンダーに6個の弾薬をシリンダーの後ろから一発ずつ入れるのがもう一つの特徴。
ただ欠点がある。
一発ずつ入れなければいけないので時間がかかる。
マニアの間では根強い人気がある。
おそらくマスターの趣味か刑事時代の愛銃かのどちらかだろう。
私は官給品のセミオートマチック拳銃なのでどうこう言えないが。
将来的には自分の愛用品は持ちたい。
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