プロローグ

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* 一時間後、制服に着替えた幸也が通学路を歩いていると、後ろから猛烈な勢いでやって来る影があった。 「ユッキィーー!! おーはーよぉーー!!!」 影は完璧な踏み切りで宙に舞うと、綺麗なフォームで3m程飛行を続けた後、幸也の背中に抱き着く形で着地を決めた。 不意をつかれて背後から勢いよく抱き付かれれば当然のこと、二人一緒に地面に倒れ込んだ。 「テメェ弥勒コラァ!」 幸也から肩越しに睨みつけられた影は、そんな事はまったく気にも止めず、ケタケタと愉快そうに笑っている。 「ユッキーは学ランも似合うけどブレザーも似合うねぇ、さすがイケメン。なんで彼女出来ないの?」 「知るか! どけ!」 そう命令され、幸也の背中から跳ねるように降りたのは、 やけに長身のあろう事か髪を水色に染めた幸也と同じ制服を身に纏った少年だった。 仙道弥勒(せんどうみろく)、幸也の数少ない友人の一人である。
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