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「ユッキー、今日から俺らも高校生だよ? 人生の中で最も思い出に残る3年間の今日が幕開けさ! なのにそんなしかめ面じゃ先行き不安だね、笑顔で行こうよ!」
「朝っぱらから奇襲くらって新品の制服が学校着く前に土まみれになれば誰だってこんな顔になるっつーの!」
「ハハハハ、そりゃそうか」
変わらずケタケタ笑う弥勒に既に怒る気力も失せたのか、幸也は汚れを払うとスタスタと歩き出した。
「あぁ待ってよユッキー、謝るから怒んないでよ」
「別にそんなに怒ってねーよ」
幸也と弥勒は小学校時代からの幼なじみであり、恥ずかしがって口にはしないが、幸也にとって弥勒は親友と言って差し支えない存在である。
弥勒の幸也に対するこうしたノリはお馴染みのもので、弥勒曰く“愛ゆえに”とのこと。
「てゆーかお前なんでこんなに早いの? 俺は早めの集合時間だけど」
入学試験において新入生の中でトップの成績を記録した幸也は、新入生代表として入学式で壇上に上がるため、その打ち合わせのせいで一般の生徒より少し早めに登校するように学校側から連絡を受けている。
だから弥勒と登校時間がカブる筈はないのだがーー。
「ほら、一緒に行きたいじゃん!」
この一言で解決である。
「それだったら綾も誘ってやればよかったのに、またアイツ泣くぞ?」
「綾にまで早起きさせるのは悪いしね。大丈夫、ユッキーを学校まで送り届けたらまた迎えに行くよ」
「……元気な奴」
幸也は呆れたように微笑むと、弥勒と歩幅を合わせ肩を並べた。
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