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震える足で病室に行くと馬鹿で明るいアイツは、病室のベッドの中でも明るく振舞っていた。
でも気付いたんだ。
アイツの瞳の奥が笑っていないこと。
それからずっとアイツは俺たちの前で弱音を吐くことはなかった。
だけどアイツから笑顔が消えていった時間はそんなに長いものじゃなかった。
ただ機械や管に繋がれて横たわっているアイツを見るのは辛かった。
笑ってくれよ・・・って願うばかりだった。
あの頃は強がらないでと思っていたのに。
アイツが言った。
「生きてる意味あるのかな?」って。
もしアイツの心臓が壊れるなら、俺がこの心臓をあげたい。
だって生きてて欲しいから。
アイツには色んなことを教わってばかりだ。
笑うこと、楽しむこと、仲間の大切さ。
まだまだたくさん数え切れないくらい。
みんなは命について考えたことあるのかな。
学校に行って、家に帰って、眠りにつく。そして朝を迎える。
そんな当たり前の毎日が奇跡のように幸せだってことをみんなに伝えたかった。
アイツは今も同じ空の下懸命に生きてる。
その手助けが俺に出来るのか分からないけど、そばにいたい。
そばで笑って、また馬鹿なことをたくさんするんだ。
仲間って自分の心を温かくするんだ。
だから俺もアイツの心を温めたい。
一人じゃない。
普段は絶対言わないけど、ありがとうと心から伝えたい。
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