予想外の始まり

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1年前、あたしは両親に殺されかけた。 首をしめられて、あたしが意識を失ってる間に家に火をつけられた。 無理心中しようとしたみたい。 でもあたしは、途中で誰が通報したんか、駆けつけた消防隊員に助けられた。 だから、両親だけが死んだ。 両親が、いろんなもんに苦しんでる事は知ってた。 親父の博打好きで膨れ上がった借金、殺人的な取り立て、それによって出来た人間関係の分厚い壁、おまけにあたしの悪行三昧。 でもたぶん、両親が一番苦しんでたんはあたしが親父の借金をちょっとでも減らすためにウリをやってた事やと思う。 あたしが取り立て屋と寝た事を知ってたんやと思う。 でもこれは強制じゃない。 自主的にやってた事。 だから、親父は責任を感じる事はなかったのに。 それでも、やっぱりそういうわけにもいかず、結局選んだ道はみんなで死ぬ事。 最良の選択でもあるし、最悪の選択でもある。
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