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男は少女を見上げたまま、顔を逸らすことができない。動けなかった。
「どうせ、見つかるというのに無意味なことをしても意味がないだろう。潔く諦めるんだな。」
少女は宙に浮いたまま、優雅に微笑んだ。目は笑っていない。
男はやっとの思いで、手にしていたナイフを少女に向けた。
「いつの間にそこにいたのか知らないが、もう後には引けないんだよ。悪いが嬢ちゃんにも死んでもらおう。」
男は震えながら言い、ナイフを握りなおした。
「フッ 」
「!?」
男の言葉を聞いた少女は、怯えるでもなく男を鼻で笑った。
その光景に男は驚く。
「後には引けない、か。確かにその通りだ。だか、それで私を殺すだと?筋違いも甚だしいな。」
少女は手にしていた鎌を構える。
「安心しろ。私はもう死んでいる。私は仕事をしに来た。ただそれだけだ。」
途端に、男の顔から血の気が引き青ざめた。
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