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そういった風潮は、今も残っている。
国民の安全を守るべき警察官だから、重大事件の最中ならばそれも当然だが、何もなければ非番を取るのは警察官の義務だ。
今回の事件は、酒出の手を煩わすまでもない。
万全を考えるあまり、酒出に頼ろうとした。
「連絡しても、あの人は出ないでしょうね」
「今日の非番は、家族サービスだそうです」
「でしたら、警部補にはメールだけ入れておいて下さい。長引くようなら、非番明けから合流してもらいましょう」
「了解しました」
柿崎の部下は、歩きながら携帯電話を取り出し、液晶を見ずに文章を作り出すと、それをそのまま送信した。
そして、柿崎と共にエレベーターに乗り込む。
「しかし、自社ビルだというのに、十五階にオフィスとは珍しいですね」
「どうも、創業者の方針だそうです」
「方針ですか?」
「はい、何でも自社ビルだろうが、オフィスはなるべく高い階に入れるべきだと」
それならば、最上階にするべきだという話しもあるが、最上階では業務に支障をきたすとか。
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