第一章 容疑者確保

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   そこで、ビルに設置されているエレベーターの性能で、オフィスのフロアを決定しているとか。 「オフィスから、正面玄関まで三分を超えない階が条件だそうです」  柿崎は、オフィスの様子を軽く見てから、事件現場である階段に入った。  遺体は、既に運び出された後だった。  鑑識班が、指紋や微物の採取などをしながら、他にも物的証拠が無いか目を凝らしている。 「目ぼしい物証は、出ていないようですね……」  柿崎は、そう言い残し警備室へと移動した。  オフィス、階段、警備室と、県警や西署の捜査員がいるものの、どうしても各所で人員不足が生じている。  仕方ないと言えば、仕方ないと言えよう。  しかし、初動捜査のミスが事件解決の足枷になる事のは、柿崎の経験から見ても明白な事。  いかなる理由があろうと、人員配備には細心の注意を払わなければならない。  その辺り、既にミスと言えよう。  気落ちしつつ、警備室の面々と挨拶を交わす。警備室では、防犯カメラの映像の解析中だった。  犯行の瞬間の映像。
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