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捜査員と警備員は、そこばかりを繰り返し再生し、犯人の特定をしようとしている。
映像は、そこそこにクリアであった。
曽根崎 真美の顔は、映像から十分に確認ができる。
一方、犯人の映像。
黒系のスーツ姿で、スカートは膝丈のタイトなタイプ。黒のセミロングの髪は、前髪がストレートにカットされ、うつむき加減の為に表情は陰になっている。
人相の特定は、難しそうだ。
「すいません。犯行直前三分前から、直後の三分間の映像を見せてくれませんか」
「はいっ、ただ今」
警備員は、その柔らかい口調に好感をもったようで、柿崎の要望にすぐ応えた。
階段に腰かける被害者。
しばらく、その体勢のままで動かずにいる。
約、三十秒。
被害者が、何かに気付いて上を見上げると、次の瞬間に立ち上がった。
防犯カメラの映像に音声は無い。
「恐らく、足音に気付いたのでしょうね」
柿崎は、小さく呟く。
その直後、黒スーツの女が階上から降りてきて、曽根崎 真美の前でしばらく佇んだ。
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