第一章 容疑者確保

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         2    千葉北警察署刑事課。  この半年で、大きな事件の解決に携わった警察署として、県内のみならず関東圏の警察から注目されている。  そんな刑事課の面々は、県警からの指示を待つかのように、それぞれが時間を過ごしていた。  暇という訳では無い。  地域安全課や、交通課、組織犯罪対策課などは、出払っていて署内は閑散としている。  何かあれば、刑事課が代理として出なければならない。  その為の待機という訳だ。  そうは言っても、県警からの指示では無く、あくまでも自主的になのだが。  それ故、北署の名物刑事の矢次などは、神経質そうな顔を歪めて不機嫌そうである。 「はぁ、何で刑事課だけ声がかからんのですか。北さん」 「説明せんでも、分かってるだろうが。矢次」 「分かってますよ。分かってますけどね」  名物ヤジキタコンビの相棒であり、上司である北方の対応に、矢次は納得がいかないようだ。  ふて腐れ、自分のデスクに座る。  その北方は、ぼんやりととテレビを見ている。
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