第一章 容疑者確保

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   夕方のニュース番組。  千葉西署管内で数日前から発生している、毒物飲料設置事件を報じている。  県警及び、千葉西署はその対応に大量の人員を導入していた。  それでも足りずに、近隣の警察署から応援を出した。  無論、千葉北署からも。  署長の高見沢の判断で、地域安全課などを派遣した。  高見沢にしてみれば、そうして応援を出している時に、別の事件が発生したらと考えての指示である。 「何せ、刑事課はうちのエースだからねぇ」  署長にそう言われれば、矢次としても引き下がるしかない。  事件は、一向に進展しない。  そんな中で、課の問題児である刑事が、北方の横に気味悪い笑顔で近付いてきた。 「北さん、どう思います?」 「どうって、何がだよ」 「この事件ですよ。やっぱり、無差別殺人事件ですかね」 「馬鹿か、お前は。このヤマのガイシャ、誰も死んじゃいねぇだろ」 「あぁ、そうでした……」  そんな事も分からないのかと呆れながら、北方は視線を送ろうともしない。  酒口 孝也。
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