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千葉北警察署というより、警察組織全体のお荷物ながら、持ち前の幸運で刑事を続ける男。
ラッキーボーイ。
ただ、運だけでここまで来た彼は、明らかに役立たずであった。
社会人不適合者。
方向音痴。
ミステリーファン。
思い込みが激しい。
ミステリーファンである事は別にしても、それ以外の条件で、どうにも刑事に不向きと思われる。
事実、向いていない。
そんな酒口は、暇になると北方に絡んでくる。
着任当時、北方は「ラッキーボーイ」と、酒口をからかったものだが、近頃では面倒になり「酒口」と呼ぶようになった。
それが、彼を調子にのせた。
ラッキーボーイから、酒口と呼ばれる事で刑事として、北方から認められたと思い込んだ。
少し前まで、自分が役に立っていないと、悩んでいた事も忘れてしまったらしい。
お陰で、北方によく絡む。
「酒口と呼ぶの止めるかな」
「えっ、北さん。そんなぁ」
「そうだ、いい呼び方があったじゃねぇか」
「えっ、いい呼び方ですか?」
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