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現場に到着すると、柿崎の部下が待ち構えていた。
「応援、感謝します」
「それで、状況は?」
「北方係長。一応、重要参考人の身柄は押さえたのですが、事件発生時にビル内にいた人々の事情聴取が、人員不足により滞っているのです」
「何だ、重要参考人の身柄を押さえてるのか」
「はい。犯行の様子が、防犯カメラに映っていまして」
北署の刑事課の面々の勘も、この程度のものだったのだ。
一同は、渋々とビルに入る。
北署の刑事課にあてがわれたのは、スマイル一番生命以外の、ビルにテナント契約している会社の人間の事情聴取。
就業時刻が終わり、運悪く残業していた人々が、足止めを喰らって不機嫌な状態である。
それでも、一時間は待たされて無い筈。
「それでは、お話しをうかがいます」
事情聴取は、被害者の曽根崎 真美との関係を聞き、無関係だという事なら帰宅の許可を出した。
同じビルに勤めている。
それだけで、無関係とは言いがたいのだが。
ところが、曽根崎 真美の顔は実に広かった。
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