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真美が、聖人君子とは言わない。
逆に、聖人君子のような人物であれば、悪人から恨みを買うだろう。
だが、憎めない人間というのは、どうしても敵を作りにくい性質を持つ。
真美も、そんな人物だろう。
北方としても、矢次を諭したものの真美を殺害する動機を、その参考人に聞いてみたい気分になった。
そして、事情聴取に戻る。
真美の交友関係は、他社の人間だけに留まらず、出入りの業者や近隣の飲食店の店員にまで及ぶ。
それを証言したのは、このビルの清掃を請け負っている、業者の女性であった。
もしも、参考人が加害者で無かったら。
それだけ膨大な数の関係者に、再び聞き込みをしなければならなくなる。参考人は、あくまでも参考人であって、容疑者でも無ければ犯人でも無い。
北方は、特に仲の良さそうな女性清掃員に、より細かく曽根崎 真美の人となりを聞いていた。
次々と、人々が帰宅する。
北方たちの事情聴取も、ようやく先が見えてきた。
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