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酒出 太志は、家族と共に東京ディズニーランドを満喫した。
東京ディズニーランドと言いながら、千葉県の浦安市にある。それは、どうしたものかと思いつつも、夢の国と言われるだけのものはある。
酒出など、一番似合わない場所。
そんな酒出すら、心を踊らせ数時間を満喫した。
愛する妻と、愛娘が一緒だからという事も楽しめた要因のひとつだろう。むしろ場所など関係なく、家族との時間を過ごせた事が、楽しかったのであろう。
陽が落ち、家路につく。
電車を乗り継ぎ、総武線に乗り込む頃には、酒出の娘の志津香は父親の膝の上で寝息をたてる。
小学校二年生。
まだまだ遊びたい盛りの七歳は、ディズニーランドという夢の国で、はしゃぎ過ぎたのだろう。
酒出は、そんな志津香の頭を優しく撫でる。
「あれだけ喜ばれると、また連れていってやりたくなるな」
「父さん、父さんって、べったりだったものね」
酒出の隣には、妻の明子が穏やかな顔で娘の寝顔を見つめる。
十以上年下の妻。
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