プロローグ

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   真美が勤務するのは、スマイル一番生命という、業界で一二を争う保険会社である。  そう、ここはスマイル一番生命の自社ビルである。  真美は、そのスマイル一番生命の千葉営業所において、常にナンバーワンの実績を残す営業職。  いわゆる生保レディである。  年末に向け、契約の取りにくくなる時期にあっても、真美は一人数字を伸ばしていた。  今日も、その契約書のデータ入力など、社内の手続きをしているところ。  そして今、休憩の為にビルの階段へと来たのだ。 「あぁ、涼しい」  ビルの中で、手軽に暖房から逃れるには、階段に行くのが一番である。普通であれば、女性の真美が暖房から逃れるなど、あり得ないと思われるが、真美は暖房は苦手なのだ。  そう、太っているから。  本人は、「軽くぽっちゃり」と言っているが、ウェストはくびれるどころか、丸く出っぱっている。  それが、彼女の愛嬌でもあるのだが。  その体型ゆえ、暑さに弱く寒さに強い。だから外回りは良くても、ビル内の暖房は厳しいと思ってしまう。
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