第一章 容疑者確保

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   事故と事件では、話しが違ってくる。  報告を受けた県警本部長は、事件の概要を説明させた。  花見川区幕張町。  スマイル一番生命ビルの十四階と十五階、その中間の階段で転落事故が発生した。  通報は、ビルの警備員から。  警備室にて、防犯カメラの確認をしていた警備員が、階段の踊り場に倒れている被害者を発見。  ただちに現場に急行すると、頭部から血を流して死亡していた。 「警察だ。すぐに、警察に通報してくれ」  その段階では、事件と事故の判断はできなかったが、現場保全をし通報したのは賢明だった。  被害者は、曽根崎 真美。  同ビルに入る保険会社の外交員で、常に営業成績トップの生保レディだという。  死因は、頭部を強打した事が原因と見られる。  被害者の体型が太めで、金属製の階段で傾斜がきつく高低差がある事から、足を踏み外して転落し、打ち所が悪かったのだと見られた。  しかし、検死の結果を見てみると、頭部を殴打した形跡が見られた。 「つまり、転落死では無いという事か」
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