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一体どうしてこんな関係を彼女と持ってしまったのか。
まあ当然この俺には非なんてもんは無いわけで、元凶は千晶である。
去年の今頃、“持ち掛けて”きたのはあちらの方だ。
『一晃くんって、遊んでるんでしょう?じゃあ私とも遊ばない?』
自分が何を言っているのか、解ってないんじゃねえんだろうか。
あくまで無表情を貫き通す彼女の顔に、そう思って。
それがまた逆に面白くて。
『誘ってんなら、もっとちゃんとわかりやすく言ってみて?』
『え……』
『俺をその気にさせてみろっつってんの』
不思議と口元がニヤついた。
言葉遊戯に慣れの無い彼女の真っ赤な顔は、俺の加虐心をくすぐるには十分過ぎた。
いざ抱いてみれば何のことは無い、彼女も普通の女。
焦らせば欲する。
煽れば上り詰める。
柔らかな肌と初な反応で俺を誘惑し、花びらが一枚一枚開いていくようにその本質を俺に晒す。
ただ、驚いたのはその“差”。
明かりをつけたままでするのを嫌がる彼女との行為は、いつも薄暗い中で行われる。
最初はなんだこの面倒くせえ女は、と思った俺も、今はこの方が落ち着くようになった。
ほんのり小さく燈した明かりの、微弱な光に照らされる千晶は。
いつだって、昼間見る姿の二倍も三倍も綺麗だ。
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