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女心っつーもんは全くわからねえし、わかりてえとも思わねえが。
女のカラダはよく知ってる。
柔くて細くて繊細で、乱暴な扱いを酷く嫌がる。
丁寧に丁寧に嬲るほど、綺麗に鳴く。
――夜は好きだ。
俺のいる街は、昼より夜の方が活気がある。
昼間目立たない電球が、カラフルなネオンを煌めかせ。
日中かったるそうに歩いていた夜行性の男共が、明るい夜を謳歌する。
女達は美しく身を飾り、嬌声を上げて騒ぐ。
“一晃くん”
そして夜の千晶は可愛い。
聞き取りづらい乱れた声に、全力で耳を澄ませたくなるくらいには。
息も絶え絶えの彼女の声が自分の名を呼ぶを聞きながら、
「ん?何?」
余裕ぶる俺はその首に音をたててキスをする。
しっとりと汗ばんできたその肌を、やんわりとなぜる。
俺と違っていつまでたっても余裕ぶることを覚えない、甘い響きを伴う吐息が心地好い。
“やさしく”
“やさしくして”
“やさしく”
泣きそうな声が、耳に篭るように何度も聞こえる。
十分過ぎるくらい、優しくしてやってんだろうがよ。
思いながら俺は、【優しく】千晶の腰に手を回し。
「ああ」
【優しく】千晶の白い二の腕を甘噛みする。
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