珈琲と香水Ⅱ

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冗談じゃない。 ムカついているのは私の方だ。 馬鹿みたい。 自分の価値を女の子で確かめるなんて、どれだけ上等なつもりなんだか。 馬鹿みたい。 その場限りで甘い言葉吐いて、適当に立ち回って、何が楽しいんだか。 馬鹿みたい、馬鹿みたい、馬鹿みたい。 こんな上辺だけの行為で満足できるなんて、どうかしてる。 「その台詞、そっくりそのままお返しするわ」 即答した私に、一晃くんは僅かに眉をひそめて。 それからそれを隠すみたいに、私の首もとに顔を沈めた。 また、ちゅっと音をたてて。 首筋にキスを落とされた。 抱き寄せられて、体が密着状態まで寄り添った。 耳を舐められ、弱く噛まれた。 「痛い」と言って「あっ、そ」と流された。 虚しい。 悲しい。 寂しい。 辛い。 わかってる。 私が望んだ関係だ。 進み方もわからなくて、とにかく繋がりを欲して。 無計画に成立させた、私の為の私による私と彼の関係だ。 「――なんで、お前が俺にムカついてるんだよ」 不意にこぼれてきた拗ねたような呟きに、思わず彼の背に手を回す。 そうして、こちらからもしっかりと抱き寄せる。
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