540人が本棚に入れています
本棚に追加
/265ページ
「一晃くんって」
「あ?」
気づけば黒いパッチリした目が、真っ直ぐ俺を見上げていた。
……あ、ヤな予感。
「本当に私の事――」
やっぱきたか。
「好きじゃない――」
「ねえな!お前はねえ!」
「…………」
「…………」
――クソ。
“また”だ。
意味無くいきなり喚いた俺を、今度は不信げに見上げる彼女の瞳。
「……そう。ごめんなさい、変なコトを言ってしまって」
軽くしょげた謝罪に、心底イラッとくる。
全くもってな!
なんでいつもいつも超がつくほどド直球なんだこの女は!
「周りがうるせえからって勘違いしてんじゃねえぞ」
有り得ねえ有り得ねえ有り得ねえ!
こっちはお前以外にも寄ってくる女子くらいいるし、元来派手な女には興味ねえんだよ!
なのになんでお前といいアイツらといい、――
「そうね。別にオギくんに言われたから思ったわけでもなかったのだけれど」
――ソコに辿り着くんだよ。
「何度も同じ事聞いてしまうなんて、自分でも馬鹿みたいだとは思うわ」
「…………」
「何故かしらね、ふと思うの」
「……あっ、そ」
最初のコメントを投稿しよう!