sex friend

8/14

540人が本棚に入れています
本棚に追加
/265ページ
目が合ったりしないよう気をつけながら、一瞬だけ。 チラと見た彼女の顔は、やはり憮然としていた。 うねるパサパサの茶髪。 細かいラメの光る肌。 「…………」 「何?」 冗談じゃねえ。 こんな愛想の無い、ケバいだけの女。 こんな女にこの俺が、絶賛片想い中? 何たる不名誉極まりない話。 「イエ、別に」 目敏く気づきやがった彼女の訝しげな視線を、片手を振って軽くいなしながら。 再度見たその睫毛のダマダマしさに、心の中で唾を吐く。 クソッ、なんで噂になる。 「そう、まあいいけど」 誰だ、そんな醜聞、最初に流した奴は。 誰だ、俺の最も望んでなかった状況を、あっという間に作り上げた奴は。 「……何にしてもお前」 「え?」 誰だ、最初に知った奴は。 「周りの言う事、マジで気にすんじゃねえぞ」 誰だ、最初に、 「ええ、そうね。気をつける」 この俺の、無様な一人相撲を見てとった奴は。
/265ページ

最初のコメントを投稿しよう!

540人が本棚に入れています
本棚に追加