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俺の好みは清楚な女。
例えるなら、ドラマや映画によくいるヒロイン。
黒髪セミロングにナチュラルメイク、あるいはすっぴん。
下品に肌を見せ付けることの無い、節度のある服装。
出来れば傍に寄った時に、シャンプーや石鹸の香りがしてほしい。
女は付き合うならそんなのに限る。
ずっとずっとそう思っていたし、そう言ってきた。
チャラチャラと軽く女を抱くからと言って、チャラチャラした女が好きなわけじゃない。
その、はずだった。
『……お前その厚化粧、何とかなんねえの?』
思いきり馬鹿にした声でそう言った俺に。
『塗ったり書いたり染めたりするのって、落ち着かない?』
そうきっぱりと言い切った、俺の好みと真逆の女。
『せめてピアスやめねえ?お前』
『顔周りが淋しくなるわ』
千晶は日に日にケバく、派手派手しくなっていく。
『んじゃ、ソレ、つけまつげ。もうちょい控えめにしねえ?』
『目が大きく見えると、それだけで安心するの』
そう、だから、言うなれば。
『お前、ケバい、マジで』
『そう。それは仕方ないわね』
彼女は驚くべき例外だ。
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