stage3

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カンに障るだけの万矢になど構ってはおられない。 優太はどうしても3rdステージをクリアしたい。こっちの方が重要だ。 今夜また、優太は履き慣れたシューズでぴかぴかの床を踏み締めていた。 燃えるような目でレーンの先を睨む。 ゲームだ何だと割り切るわりには、優太の心の内はかなり本気であった。 いつの間にか本気にさせられたのだ。それだけ優太は素直で、努力を惜しまない人間なのだ。 優太自身はそれを「子供っぽいダメな僕」の一言で片付け、魅力だとは思っていない。 「ready?」 ショットガンを構え、猛然と吠える。 「勿論だよ!」 飛び出すゾンビとぶつかり合う様にショットガンから弾が飛ぶ。 優太の気合いが乗り移ったかのように激しく火を噴き、次々と高得点を打ち出した。 「VERYGOOD!!VERYGOOD!!VERYGOOD!!」 アナウンスも興奮しきりである。 優太は決して奢る事なく唇を一文字に結び、食らいついた。 一時の喜びなんて欲しくない。欲しいのは次のステージへの切符だけだ。 しかしやはり、例の苦境が待っていた。 弾を込めたいのにゾンビが途切れないもどかしさ。ああ───これでは昨日や一昨日の二の舞になる。 「小森くん!」 誰かが遠くから呼んだ。声を認識する前に優太の視線はその人物を捉えていた。 ──松田万矢。 マシンガンを構え、万矢が撃った。優太の目の前にいたゾンビが打ち砕かれる。 撃ちながら万矢が走り寄ってくる。 「手伝う」 言って、弾を優太の手に押し付けた。 リロードしなければいけないのはわかっていても、優太はしばらく慣れた様子でゾンビと向き合う万矢の横顔を、信じられないという顔で眺めていた。 戦いは終わった。 数日かけてもクリア出来なかった3rdステージが、あっさりとクリア出来てしまった。 喜び舞う雰囲気になかった。 優太は放心状態でへたり込んでいる。 万矢は、レーンの上をぶらぶらと行ったり来たりしていた。 「松田くん…どうして?」 小さな呟きに、万矢は「ん?」と俯けていた顔を上げた。 「どうしてここに…いるの?」 聞きながら、答えは一つしかないなと思った。 万矢の答えは優太の予想通りだった。 「俺もクリア出来なくて苦労してたんだ」 不思議だ。万矢もほぼ同じ時期から同じ夢を見ていたのだ。
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