96人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの………隠し子とはいった「総司!!だから俺には隠し子なんていねえって言ってるだろ」
私がさっきの言葉の真意について聞こうとした直後、この場にいたもう一人の男の人に思いっきり被されてしまった。
「だってこんなに似てるんですよ、土方さんとこの子。
血の繋がりを感じずにはいられませんじゃないですか」
「だからってありもしないことをこのガキに吹き込むんじゃねえ!
俺にガキはいない。これはお前もよく知ってる事実だろ」
「それはそうですが……」
なんだかこの二人だけでどんどん話しが進んでいるせいか、私が会話に介入する隙が全く無くなってしまった気がする。
でも、今はそうなってて良かったかもしれない。
だって、
私の頭はもうこの状況がよく飲み込めず、オーバーヒートを起こしてるもの。
そんな私を置いておき、この二人はさらに話しを進めていく。
「でも土方さん、昔奉公に行っていた松坂屋で年上の女性を妊娠させたって「あぁぁぁぁああ!!聞こえねえ、俺には何のことだかサッパリわからねえ」
「白々しいですよ土方さん」
なんだかこの二人の会話ももつれてきたみたいだし、さすがにここがどこだかぐらいは聞いておきたい。
質問するために、手前にいた黒髪の男の人の肩を叩いた。
不意に振り返ったその男の人と目が合った瞬間、私は凍りついた。
だって、
――――――気味が悪いぐらいその人は私に似ていたのだから。
まるで親子のように。
最初のコメントを投稿しよう!