序章

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私は、昔から何かしらイヤなことがあると家の倉に閉じこもるのが癖だった。 今まさに私はその状態になっている。 でもそれは仕方がないのだ。みんながあんなことを好き勝手に抜かすから――――――。 ****** 私の名前は土方奈央佳(ひじかたなおか)。 まあ、新選組を知っている人ならこんな変わった名字を聞いただけでピンとはくるだろう。 私は、土方歳三(明確にはその姉)の子孫だ。それだけならまだよかったものを!! 私は土方歳三によく似ていた――――――そう、親子かと思えるほどに――――――。 切れ長の目、黒く艶やかな髪、色白な肌。 そのせいか私は、土方歳三の再来だと親戚中からもてはやされた。 剣術の才があるかもと剣道も習わされた。別にそれについては私も構わなかった。 そして今では高校の都大会で優勝するほど私は剣術が上手くなった。 なのにみんなまるで、 私がその才能だけで勝ったかのように私を評価した。 私は土方歳三の子孫じゃなく、奈央佳としてみてもらいたいのに。
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