序章

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「わかってるよ。もう少ししたら家の中に入るから」 いつまでも倉の中にいたって仕方ないか。 どれだけ落ち込もうと土方歳三はこの世にいないし、どうすることもできないから……。 いっそ生きてる人だったら文句を言ったりいっそ殴ってやることだって可能なのに、死んだ人が相手じゃ………ね。 私は立ち上がって家の中に入ろうと思った時、ずっとしゃがみこんでいたせいか横に倒れそうになり、慌てて横にあった荷物の山に手をついた。 その瞬間、荷物が大雪崩を起こした。 「ゴホッガホッ、ゲホゲホッ」 うっわー、すっごい埃たった。というか荷物、直さなきゃ。 私は足元に転がっている荷物を積み上げていかなければならなくなった。 本当は倉を開けて換気したいけど………お母さんにバレたらどうなることか。 なんて思いながらテキトーに積み上げていると、私は一冊の本を掴んでいた。 それは歴史資料館などに置いてるような古い本にしか見えない物だった。 なんで今更この倉にこんな古い本があるんだろう?こういう古い本とかは全部、市の資料館に寄贈したはずなのに。
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