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「いくらそんなふうに言ったって私はさっき言ったことを変えない!
というより変えたくない。
………だっていつも変えなきゃいけない、曲げなきゃいけないのは私の方だもん」
その一言には私の本音が僅かに漏れでていた。
いつも比べられる対象としてあった、今は実在しない人物。
それが今目の前に実体を持ってそこにいる。
今までは自分の中に押し留めなければならなかった感情。
でも今はちゃんとぶつけれる、いや、ぶつけたかった相手が生きているんだ。
「なら、この話はもういい。
それじゃあお前、昨日あんなに言っていたが俺を倒したいんだろ。
実際俺と試合してみればそんなこと言わなくなるだろ」
「うっ……」
今試合したとしてもわたしに勝算はないのだろう。
木刀で試合はするだろうから今日木刀を触ったばっかの私じゃ実力が出せずに負けると思う。
でも、このまま試合をせずに引き下がりたくないよ!!
だからって歳三に無様に負けるのも精神的にキツイ。
「私は………」
このまま受けるべきか、受けざるべきか。
「なんか真剣に話し合ってるところすみませんが、たったとこの食事片付けてくれませんか。
じゃないと広間が片付かないんですけど」
「は、はへ?」
唐突な沖田さんの介入で、私の頭は急停止してしまった。
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