序章

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私はその本の表紙を懸命に払った。 それはもう、本が破れるか破れないかの限界まで。 だけどその本に付いていたのが埃だけではなく、シミも大量についていたせいで表紙の文字のほとんどが読めないままだった。 私が表紙に書かれた文字で読めたのは"日記"の二文字だけ。 「日記って、誰の日記なんだろ?自分の日記をわざわざ残しておくなんて。 ………まさか、土方歳三!? あの人、自分の変な句集を残すだけじゃ飽き足らず、日記まで残してたとか」 ま、中身をみてみればある程度は誰が書いた物かわかるはず。 私はそのままその日記のページを捲った。 その瞬間、私を強いめまいが襲った。 「な………にっ………?」 私はそのまま、何かにいざなわれるように目を閉じた。
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