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誰かと思って振り返ってみると、
そこにいたのは沖田さんだった。
「何ですか沖田さん。またいたずらでも仕掛けにきましかた」
朝の一件のせいか私の口調は少し厳しめだったと思う。
だけどそれを全く気にしない様子で彼は私に話しかけてきた。
「君を探してたんだけど、まさか台所にいるとは思わなかったな~。
そんなことしなくてもみんな気にしないのに」
「皆さんが気にしなくてもわたしがきにするんです!!」
私は洗い物を手にしながら答えた。
「ところでさ今朝の土方さんとの話、どうするの?
勝負申し込まれたでしょ」
それを聞いた途端、私の手から洗っていたお椀がつるりと離れる。
「あわわわわっ」
なんとか床につく前にキャッチできた。
あぶない、あぶない。
「クスッ……そこまであからさまに戸惑われるとなんだか笑えてくるよ」
沖田さんはその様子を見て、面白そうに笑っていた。
うぅ~~っ、恥ずかし~。
私は顔から火が出るんじゃないかというくらい真っ赤だったとおもう。
「まあ、あんな大声で話してたら広間にいた全員に聞こえたと思うけどね」
「そんなに大声でしたか!!」
うそっ、そんなに大声で話してたの。
「それより本題にはいるけど、君はこの勝負受けるの、受けないの?」
そのことについて聞かれて、何も言えなかった。
実力がわからない相手の勝負を受けるか受けないか。
本来なら受けない方がいい。
実力がわからないのだから様子を見るのがいいに決まっている。
だが、今回は相手が相手だ。
正直受けたいという気持ちが強い。
「うぅっ」
私はいつの間にか顔をしかめて悩んでいた。
「まあ悩むよね。
なら、土方さんの実力見てみない」
それは私にとって願ってもない提案だった。
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