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「遅い!」
両手いっぱいに荷物を抱えて生徒会室に戻ると、生徒会長様に叱責をくらった。
とりあえず腕が痺れてきたので、僕は両手に抱えたダンボールを長机の上に置いた。
「ハア…」
自然とため息が出る。
「なによ、文句あるわけ?」
生徒会長さんが睨んでくる。苛立ちを隠す気はないらしく足踏みまでしてやがる。
……二十分離れただけでこの様子だ。
「…ああ、あるね、不満だらけだ。なにせ圧倒的に人手不足だ」
この生徒会に人員は二人しかいない。
生徒会長を勤めるのが幼馴染みの――神藤 結衣(しんどうゆい)で、僕は副生徒会長兼ね、風紀兼ね、書記兼ね、会計兼ね……数えだしたらキリがない。
こうなった経緯だが……
最初、結衣に生徒会に誘われて、あまり気乗りしなかったが写真(消し去りたい過去の失態)で脅されやむを得ず強制的に生徒会に加われた……まあ、とりあえず百歩譲ってそこまではいいとしよう。
問題はこれからだ。
結衣のアホゥは僕を除く自分以外の生徒会員を生徒会から強制的に追い出したのだ(その中の二名はすごく反対していたが、三日後に隣の県の学校に転校させられた)
こんな無茶ぶりができるのも結衣の家が資産家で大金持ちだからだ……リムジンで学校まで送迎しているのも、もはや日常的な光景だ。
まあ、それはそれで、人員二人だけの生徒会なんて学校側が許すわけがない。だからこんな犯人がたてこもったような状況の生徒会が生徒会として機能するわけない、続くわけがない……そう思った僕が甘かった。
たてこもりから一週間過ぎた頃、人員が増えるどころか苦情すら一つも入らないことに疑問を抱いた僕は校長に尋ねてみると――
『まあ………うん、そういう生徒会もたまにはアリなんじゃないかな……うん』
気まずそうに視線をそらしながら話す校長を見て確信した。
結衣め、金で実力行使したな。
そこから僕は結衣の下で奴隷のように労働に励んだ。
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