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ニ月二十日、君が小さな木の箱に豆を入れ、揺すって音で遊んでいたが、何時もなら気にならないのに、今日に限って耳に障る。
「止めなさい、騒がしいぞ。」
君は無視して続け、止める気配は無いので、私はとうとう腕力に物を言わせ、箱を取り上げると、君は泣き出して私の胸や腕を叩いてゴネたが、そんな細腕で叩かれても、痛くも痒くもない。それより私が痛かったのは、君の子供還りが進んでいる事だった。
(このままでは、前の君は居なく成る。)
恐れた私は君を引き倒し、普段よりも優しく愛でた。愛で上げてから撫でていると、君は疲れて眠った。
私はそれを確認して、穂立と出掛けた。山を下って神社の傍に、名医が居ると聞いていたので行ってみると、小さなぼろ屋の様な診療所であった。私はあまり医者は好きでは無かったが、背に腹は代えられまい。
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