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「彼女には家族は無かったが、許嫁が居た。許嫁を眼の前で強盗達に殺され、自らはそいつらに犯され暴力を受け、子を身籠れない身体にされた。」
医者は黙ってペンを走らせている。私は思い出し、腸が煮える思いがした。あの時一気に息の根を止めてしまった事を、後悔もした。もっと苦しめてから殺すべきだったのだ。医者が顔を上げて、頷きながら言った。
「そうでしたか、そうでしたか。患者は此処へは連れて来れませんかね?せめて一度だけでも。その後は貴方が通って頂いて、症状を話してくれれば善処しましょう。」
私は君を家から出したくなかった。確かに直接診て貰った方が良いのだろうが、人目に触れさせたくない、私のエゴがあった。
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