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夜に成り君を寝かせ、出掛ける支度をした。穂立に乗り西へ走る。仕事が繁華街の為、随分手前でコウノトリと接触した。小雨が降り出し、寒い夜だった。コウノトリが穂立の綱を取り、説明を始めた。
「中通りの一本西側の道に《船屋》という宿屋があります。其処のニ階の奥からニ番目の部屋にターゲットは居ます。二人は互いに浮気相手なので、ヨロシクしている最中かもしれませんね。宿屋の風呂の時間は先程終わり、二人は確実に部屋に居ます。架空の名、《商人・河合時治》で二階に部屋を取ってありますから、この名を使い堂々と宿入りして下さい。始末したら部屋を出ては成りません。人が多いですから。二階の窓から裏庭に下り、下りた真ん前の塀を越えて頂きます。前の道をひたすら真っ直ぐ行くと、T字路にぶつかります。そこまで来て下さい。」
私は返事はしない。
「では傘をこれに変えて下さい。刀はこれに。」
コウノトリから受け取った深めの傘は、雨の日には良く、被ると顔の大半は違和感なく隠れる。刀は釣具を入れる木箱に入れ、目的地へ向かった。
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