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君は寝息を殆ど発てずに眠る。余りにも静かなので時に不安を感じ、脈を確かめては安堵するのだが、今日は代わりに口づけをした。君が微動だにしないので、悪戯心で強く唇を奪うと、君は目を覚ました。何があったのだろうという顔をするので可笑しく成り、声を出して笑ってしまった。
君の唇はとても赤い。血管が近く皮が薄いから、こんな色に成るのだろうとよく見てみた。これは―、
(噛みきるには造作も無いな。)
そう思った自分が恐ろしい人間だとはたとし、考えた事を悔やんだ。
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