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私は換金は後で祖父に任せるといい、ダンボール箱に入った本を書庫に移した。
男性は「宜しく頼むよ」と言って出ていった。
また静けさが戻る。今日は休日なので客足が多いと思ったがそうでもない、むしろ平日より疎らであるように思える。
一時間程が経過し、私が古本の整理をしていた時だった。引き戸がガタガタと開き、一人の女性が入ってくる。身長は私よりも高く、手首や足首も細い、長い髪をヘアゴムで纏めた幼なじみの葉月の姿があった。
「ハロー、店長代理君」
「いい加減名前で呼んで欲しいんだがなぁ」
私がそう言うと葉月は「本名じゃなんかつまんない」と首を振った。
葉月はラムネを入り口の傍にあるショーケースに置き、ポケットから一枚のくしゃくしゃになったチラシを取り出した。
「詭弁ヒーロー見に行かないか?」
「お断りします」と私は即答した。
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