好き。

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センターside 教室の窓から校庭を見つめる。 びっくりするほど静か。 いつもとは比べ物にならないくらい。 それもそのはず、今日は土曜日だ。 うちの高校は原則として平日の登校は禁止らしいから今は1人きりだ。 といってもある人を待ってるんだが。 呼び出しておいて遅刻なんてあいつらしいな。 「もう来てたのか。」 びっくりするくらい唐突に響く声。 「当たり前だ。私は遅刻しない主義だ。」 ばつの悪い顔をしたネズミは 「ごめん。」 と言いながらこちらに歩みよる。 「そんなお前も嫌いじゃないけどな。」 私は素直にネズミに言う。 「嫌いじゃない?」 ネズミは面白そうな顔をしてわたしの横に立つと 「素直に好きって言えばいいのに………。」 そう呟くと 「私は好きだよ。」 ネズミは私の耳元で囁いた。 顔が熱くなるのをかんじながらも 「知ってる。」 そう言う私は素直じゃないんだろうか。 end
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