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ネズミside
ばかっ!
センターのばーか!
今日の朝登校したら、センターが女に囲まれていた。
センターは顔がカッコいいし
さりげない気遣いとか優しさがあるから
モテるのは知っていた。
でも、問題は自覚のない天然タラシって事。
あいつは、前田とかおたべともなかいいし。
センターなんか嫌いだ。
だいたい好きだ好きだ言ってくるわりに
私の方が振り回されている気がする。
色々考えながら歩いているといつもの屋上にたどり着いた。
屋上の柵に手を付きながらiPodで曲を聞いていると、
心にあったモヤモヤが静まってきて
むしろ、センターが自分から離れていくんじゃないかっていう不安が大きくなった。
そのとき、耳からイヤホンが抜かれて
音楽のかわりにあいつの声が耳に入ってきた。
「やっと見つけた。」
センターはいたって普通に隣に並びながら言った。
「探せなどとたのんでいないぞ。」
「そうだな。私が会いたかっただけだ。」
センターは私の可愛くない態度を気にもしていない感じだ。
「センター。」
「ん?」
「私はお前の何だ?」
しばらく沈黙が流れる。
やっぱり、私もセンターの天然に勘違いしただけみたいだ。
「いきなりどうしたんだ?」
センターは優しく聞いてくる。
優しい声が私の涙を誘うから必死に堪えながら
「いいから答えろ。」
センターの顔は見えないけどきっと困った顔をしてるんだろう。
「もういい。なんでもな…」
「大切な人。」
センターは私の言葉を遮ってそういった。
「世界で一番大切な人。」
顔をあげると、優しい顔をしたセンターがいた。
「だから、不安になったらすぐに言って欲しい。愛してるから。」
ついに堪えきれなくなった涙が流れた。
センターはその涙を指で拭いながら
「世界で一番愛してる。」
と言った。
「………私も。」
end
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