第1章

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私立芥川学園高等部に入学し、肌寒い季節になった。 私は・・・毎日の生き地獄に、今日まで耐えてきた。 気持ち良く起きる事もないし、食べ物も美味しく感じた事なんてない。 「おい、美鈴。今日は早く出るから弁当作っとけっつっただろうが・・・」 自分の部屋から出ると、とてもイラついている父に話しかけられた。 「あ・・・ごめ・・・なさ・・・」 パン! 頬を思い切り叩かれ、私は膝をついた。 ガン!ガン!! 腹部を足で蹴られる。 「ごめんなさいっごめんなさいっ」 こんなの日常茶飯事。 私、梅野美鈴(うめのみすず)。父子家庭で、虐待を受けているが、いつも暴力を散々振るった後、私に物を買ってきて無かった事にされる。 母は私が幼い頃に亡くなってしまった。だから、どんな人間なのかなんて知らない。 「もういい、今日は帰らないから適当にやっとけ」 「・・・はい」 煙草を口に銜え、父は家を出て行く。 私も制服に着替え、朝食を済まして家を出た。 ・・・一体、私の人生ってなんなの?ねぇ、神様・・・教えてよ・・・。 ドンッ 「あっ」 下を向いて歩いていると、誰かに当ってしまった。 「すみませっ・・・」 見上げると、金髪の髪をした怖い人だった。 「・・・」 金髪の髪をした男の人は私をじっと見つめた。 「な・・・何か?」 恐る恐る問いてみると、男の人は私の唇に触れた。 「!!?」
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