ACT・1

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携帯を開いてみると、電話の相手は従兄の郷兄―桜沢郷吾―だった。 「もしもし? 郷兄?」 『あ、祥?』 電話に出ると、優しい声が聞こえて来る。 この声がおれはすごく好きだ。 さっきまでの寒さがどっかに行ったみたいに、心の底から温かくなる。 自然とテンションが上がった。 『今どこ?』 「もう郷兄のマンションの前だよ。なんで?」 郷兄の…もとい、今日からおれの家にもなる目の前のマンションを、つい緩む口元を抑えながら見上げる。 すごくお洒落なマンションで、町の中心部を少し離れた高台に建っているから、窓からの眺めは最高。
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