283人が本棚に入れています
本棚に追加
携帯を開いてみると、電話の相手は従兄の郷兄―桜沢郷吾―だった。
「もしもし? 郷兄?」
『あ、祥?』
電話に出ると、優しい声が聞こえて来る。
この声がおれはすごく好きだ。
さっきまでの寒さがどっかに行ったみたいに、心の底から温かくなる。
自然とテンションが上がった。
『今どこ?』
「もう郷兄のマンションの前だよ。なんで?」
郷兄の…もとい、今日からおれの家にもなる目の前のマンションを、つい緩む口元を抑えながら見上げる。
すごくお洒落なマンションで、町の中心部を少し離れた高台に建っているから、窓からの眺めは最高。
最初のコメントを投稿しよう!