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「それこそ、自然の摂理さ。人は自分たちのいる環境を良くしようとする。でもそれは同時に世界の環境を悪くしてるんだ」
「人の環境と世界の環境か」
「そう。でも俺はそれが全部が全部悪いこととは思わないが」
「なんでだよ?」
「それは、人だって生きることに必死だからさ。必死で生きて必死に自分たちが安全に過ごせる場所をつくり。そして、そこにルールをもうけ、ルールに従い生きていく」
「それで?」
「ルールという大きな体制ができ、人はその体制にいかに貢献したかでソイツのランクが決まる」
「ランク?」
「そっちの世界じゃ階級制度はないのかもしれないけど貧富の差くらいならあるだろ?」
「あるな」
「つまりは金があるやつとないやつだ。人は自然を破壊したいのではなく、お金つまりは自分と身内の生活を守らなきゃならないから必死で体制に貢献するのさ」
「別に自然破壊しない仕事もあるだろ」
「俺が言いたいのはそういう事じゃない。確かに自然破壊しない職もあるがその職だけじゃ人が生きていけないだろ?」
「そうだが」
「だから、生きるために自分の過ごす環境を良くするために自然の環境を壊すのは仕方ないことだし、それで快適になるのは確かだろ?」
「まぁな。だがそれでも俺は自然破壊が良いことだとは思えないがな」
「全部が全部って俺は言ったじゃないか。確かに仕方ないことだが俺もやり過ぎは良くないと思う」
「つまり?」
「要領よく自然と付き合えばいいってこと」
「なんだよそれ…。じゃあ、俺帰るわ」
「ケイタくん」
「あぁ?」
「また、明日」
「ん?あ、あぁ。あと俺の事はケイタでいい」
「いや、くん付けは癖だから」
「そっか」
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