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「明日だなんて待ってらんな
いよっ!!
早くしないと壱吾がA国に
行っちゃうじゃんっっ!」
「…晴香、どうしてお義兄様
が日本におられると思って
るんですの…?」
雪乃はギクリと晴香の顔を見る。
最初の手紙には、もう日本に居ないと示してあるし、
翻訳した文章の中にも、それを訂正するような事は書かれていないのだ。
「そんなの簡単だよっ!
私、壱吾の部屋でパスポート
探した事があるんだよ。
いつか黙って居なくなる事
もあるかも知れないって
思ってたから、隠そうと思っ
て…」
「……晴香」
「でも、見つけたケド、期限
切れてた。
青いパスポートって有効期限
は五年だよね??」
誉められた事では無いけれど、こういう事には良く頭が回るらしい。
「だから、パスポートの申請
しないと壱吾は外国になん
て行けないんだよ…!」
「お義兄様…迂闊ですわ…」
壱吾の引っ掛けには、端から晴香は引っかかっていなかった。
このまま放置すると、晴香はやはり壱吾を探して、今危険な状況にいる筈の壱吾の元へと突っ走って行き兼ねない。
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