26

54/77
前へ
/2765ページ
次へ
「オトナの対応ってヤツだね」 あははと笑いながら呟いた坂崎の言葉に、マドカも相葉もコッソリと胸をなで下ろした。 「ざけんな壱吾っ!!  絶対に首根っこ押さえて  とっちめてやるっっ!」 「バナナも意気地がねぇなぁ。  男ならスパッと連れて行きゃ  良いのによっ…」 今回ばかりは相葉に同意だ。 晴香はフンっと鼻息も荒く拳を握り締めた。 「まぁ…とりあえず会う気は  あるって事だよね?」 「その様ですわね…」 「じゃ、そん時俺も連れて  ってよ。壱吾さんにちゃんと  お別れ言いたいし…」 「はぁ?!  何言ってんのよっ!!  お別れなんてさせる訳無い  じゃんっ!  壱吾は民宿日高の跡取り息子  なんだよっ!  首根っこ押さえてでも、絶対  に外国になんか行かせるもん  かっっ!!」 「……難しいと思いますけ  れど…」 「なんでさっ!?  おばちゃんにも話して協力  して貰うんだからっっ!」 憤然と息巻く晴香に、雪乃はそれ以上水を差す様な事は言わずに口を噤んだ。 雪乃が難しいと思ったのは、直接的に壱吾を留める事では無い。 今、どんな環境に居るかは分からないけれど、壱吾が島に戻ったとして、ならず者達がそれを放置すると言う確証が無いからだ。
/2765ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1214人が本棚に入れています
本棚に追加