密室の少女

4/5
前へ
/7ページ
次へ
「もう私には関わらないでよ…」 涙混じりのかすれた声で彼女がそう呟く。 でもそんな答えはもう聞き飽きたから。 「パチュリー。」 もう一度だけ名前を呼んだ。 知識にまみれて経験の少ない日陰の少女の名前を。 カチリと、鍵の開く音が聴こえた。 「そこで泣いていても何も変わらないぜ?」 「いいの…?」 「何が?」 「私は魔女で…アナタは人間なのに…」 「そうだな。でも好きになったもんはしょうがないよ。」 「バカ…」 扉がゆっくりと押され、俺が望んでいた少女の姿が目に映る。 差し出された手を引き寄せてしっかりと小さな体を抱き締めた。 「やっと出てきてくれたな?」 「ぐすっ…後悔しないでよ…」 「後悔なんてするもんか。だって俺はこうなる事をずっと望んでたんだからさ。」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加