「返り咲き中年ライダー 二十年ぶりのツーリング」

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 おしりの痛みが出始めたので、給油がてら「長者原(ちょうじゃはら)SA」へ。 (少々空腹であったため、テントの出店で買ったフランクフルトを一本食す)。  高速最後の休憩は、岩手県の「北上金ケ崎パーキングエリア」。  時間は、ちょうどお昼どき。ここで、持参2セット目のおにぎり&自販機の「焼そば」でお昼。  陽射しは強いけど、日陰はカラッとしている。  でも、やっぱり東北。少しは違うのだろうか? 日向のベンチでもガマンできないほどではない。  それに、少々雲が多い。週間予報では、今週の東北地方は曇りがちで、雨も降りやすいそう。  まあ雨さえ降らなければ、暑さもやわらぐ。  もっともぼくとしては、真夏の照りつける太陽を期待していたのだけど…。  ここ「北上金ケ崎」は、インターチェンジといっしょになっている。遠野方面に向かうには、ここで下りても問題無い。  高速を出て、国道4号線を左折。北上(きたかみ)市街を目指し北上(ほくじょう)。数キロほどで街並に入る。標識通りに右折し、107号。  北上の街を抜けると、交通量の少ない快適なワインディング。スレ違う車も少ない。  人造湖「田瀬湖」で小休止後、283号線に入るあたりで、シールドに「カーン」と来た。雨粒だ。  見上げると、空には一面の雲。ただ、白い雲の所々に、灰色の雲が混じっている程度。今ぼくは、そのもっとも色の濃い雲の真下にいる。 「う~ん?」  でも、合羽を着るほどの雨じゃない。 『もう少し走ってみよう』  こういう時は、ついついアクセルを握る右手に力が入るもの。結局雨は本降りにはならず、景色はいつしか、両手はるかを山に挟まれた、田んぼの広がる田園地帯に変わっていた。  右側には、付かず離れず川が流れている。でも… 『アレ?』  ぼくは今、山を下りてきた。ぼくが向かっている方角には、まだ距離はあるけど、太平洋の海があるはずだ。  でも川の流れは、ぼくとは反対方向。 『なんか、ヘンな感じ』  この先にはまだ山脈があり、翌日、実際に走る事になるのだが、地図で見るとそこが分水嶺になっている。  そんな複雑な地形が、かつて長い間、ここを辺境の地としていた理由なのだろう。 「いいとこじゃん」
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