最大のライバル出現

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「萌香さんもそう思わない?」 マコトはシルバーを拭きながら、私にも同意を求めてきた。 「そ、だね……」 曖昧に返事をしながら、意識は別の所にあった。 そうだよね。 私と彼じゃ釣り合わないよね。   不安と嫉妬が私を卑屈にさせていく。 ただマコトの言葉に笑うしかなかった。   「萌香さん、どうしたの?顔色悪いよ?」 ふと顔を上げてこっちに向いたマコトが、私の顔色に気付き額に手を添えた。 「今日、病院が忙しかったからかな?大丈夫だよ。煙草吸って来ていい?」 「熱はなさそうだね。本当に大丈夫?今は暇だから休んで来ていいっすよ」   マコトに心配かけまいと、嘘をついて喫煙所に行くと煙草に火を点けた。 これ以上、彼と詩織さんを見たくなくてあの場から逃げてしまった。 どうしよう……。 あの2人の姿が頭から離れない。 彼が好きで堪らないって顔の詩織さん。 私が見たこともない彼の顔。 思い出しただけで、胸にズキンと鈍い痛みが走る。 これから、あんな場面を何度も見なきゃいけないのかぁ。 それにマコトのさっきの言葉。 『詩織さんとは付き合った事はないみたいなんだけど、彼女が居ても他の遊びと違ってずっと続いてるんだって』 『お気に入りなんじゃん?』 『あの2人、お似合いだよね?』 あは。 私、自惚れてたのかも。 自分がもしかしたら彼のお気に入りなんじゃないかと……。 バカみたい、そんな訳ないのに。 彼には詩織さんっていうあんな綺麗な人を気に入ってたのに、私なんて到底及ばない筈だよ。 好きとも言えない、彼のお気に入りですらないのに……。 バカな私はこの期に及んでも、まだ彼との関係を断ち切りたくないとさえ思っている。 「こんなに好きになっちゃって……バカみたい……」 溢れてくる涙を拭いながらポツリと呟いた。 煙草を揉み消すと、もう一度涙を拭いて店内に戻った。 ただ、そのままじゃホールに出れないからトイレに向かって顔を洗った。 「大丈夫!目も赤くないし、泣いてたの気付かれないよね?よしっ!」 ペチペチと頬を叩いて気合いを入れると、ホールに戻った。 ホールに戻ると、詩織さんの姿はどこにもなくて内心ホッとする。 「萌香さん、大丈夫?」 マコトが心配そうに近寄って来た。 「もう大丈夫だよ。マコ、心配かけてごめんね?」 「あっ、本当だ!顔色戻ってる。マジで心配したじゃん」 良かった! 泣いたの、バレてないみたい。
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