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はぁーっ……。
「15回目!」
「はぁ?何が?」
「溜息!今朝から15回目」
今日は久しぶりに、勤務が合った由希と仕事帰りに行き付けのカフェに来ている。
どうやら、由希は私の溜息を数えていたみたいで。
「人の溜息、数えないでよ」
「数えられたくないなら、溜息吐かないでよね?何かあった?悩みあるなら聞くよ?」
由希なりに心配してくれてるのは分かる。
って言うより、由希の場合は好奇心もあるんだと思うけど。
「萌香、今日こそ話してもらうよ。今日バイトないんでしょ?」
「ないけど……」
この様子だと由希から逃げられそうもないなぁ。
はぁーっ……。
覚悟を決めると、最後に溜息を吐いて由希に今までの事を話し始めた。
「はぁーっ?魔王とヤッちゃったぁ?あんた、確か魔王嫌いじゃなかった?」
「まぁ、そうなんだけど……声でかいよっ」
由希は驚いた顔をして訊いてきた。
とりあえず、由希に促されたので話しを続けた。
「それってさぁ……」
全て話し終わると由希は腕を組みながら、こう切り出した。
「萌香には悪いけど、魔王との関係ってセフレじゃん!魔王はともかく、萌香は魔王に好きと言わないでヤッてるじゃない?」
「……」
セフレ……。
セックスフレンド。
由希の言葉が胸に突き刺さる。
もしかしてそうなんじゃないかと思っていたけど。
認めたくない現実を由希に突き付けられた気がした。
それを認めたくなくて、彼との関係は違うんだと自分に言い聞かせてた。
いくら私が彼を好きでも、他人から見たらセフレっていう関係でしかないんだと実感した。
分かっていた事とは言え、由希にはっきり言われるとヘコんでしまう。
落ち込む権利なんて私にはないのにね……。
由希の言う通りかも。
彼に好きだと言ってないのに、彼から特別な言葉を期待している。
『萌香だけだ』
その言葉を言って貰いたいと思いながらも、セフレと分かっててもこの関係をまだ続けたいと思っている自分が居て。
何て。
ズルい女なんだろう。
本当は彼に好きだと、素直にぶつかる勇気がないだけなのに……。
こんなにも。
好きになってしまってるのに。
やっぱり彼から遊びって言われるのが怖くて堪らないの。
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