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由希が煙草を吸いながら、こう切り出した。
「でもね……決めるのは萌香だし、私は話しを聞く事しかできないから。でもあんまりヘタレないようにね?あんた直ぐヘタレになるし。既に今もヘタレてるけど?」
冗談まじりで由希がそう言う。
それが由希なりの配慮だと直ぐに分かった。
「だからぁ、ヘタレって言うな」
「だってしょうがないじゃん。萌香ヘタレなんだもん」
こうゆうとこ、由希は杏子と本当に似ている。
まぁ、だから由希とも仲良くいられるんだけどね。
「それにしても、萌香が羨ましいよ」
「何で?」
「魔王とセフレの関係だろうが、モテるじゃない?萌香って、男が切れた事ないでしょ?私なんて2年も彼氏いないんだから」
だからぁ、セフレって言われるとヘコむんだってばっ。
まぁ、事実だから仕方ないんだけど。
「あーっ、くさくさする。萌香、これから飲みに行くよ?魔王との事もっと聞きたいし」
「いいけど。由希、自棄(やけ)になってない?」
「なってない!」
ってか、既に自棄になってるじゃん。
こうなると由希は手が付けられない。
仕方ない。
飲みに付き合うか。
テーブルに置いたスマホに美咲から着信があり、由希を制止して電話 に出た。
「もしもし美咲?今日休みでしょ。どうしたの?」
『萌香さん、これから予定ありますか?』
電話の向こうから切羽詰まった美咲の声が聞こえてきた。
「これから?久しぶりに由希と飲みに行くとこなんだけど」
『由希さんも一緒なんですか?良かった。お二人にお願いがあるんですけど、今何処ですか?』
「いつものカフェに居るけど、もう出るよ?」
『今からそっち行きます。15分位で着きますから待ってて下さい』
そう言うと、美咲の電話は切れた。
「美咲、何だって?」
「うちらにお願いがあるみたいだから、ここで待ってろってさ」
「何だろう?仕方ないから飲み物買ってくるか。萌香何飲む?」
「ロイヤルミルクティー」
「了解」
由希はそう言うと飲み物を買いに行ってくれた。
数分もしないうちに、由希がドリンクを持って戻って来たので代金を渡す。
「美咲のお願いって何だろうね?」
由希がアイスコーヒーを飲みながら訊いてきた。
「分かんない。でもかなり切羽詰まってる感じだったよ」
ミルクティーを飲みながらそう答える。
15分後。
指定した時間ぴったりに美咲はやって来た。
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