最大のライバル出現

9/19

1043人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
美咲の叔父さんに連れられ目的のお店に向かう。 そのお店は大通りから1本入ったビルの3階にあった。 【espoir】 (エスポワール) お店の前にとてもお洒落なデザインの看板が掲げてあった。 「エ、エス……ポ……?ねぇ萌香、何て読むの?」 「は?私が分かる訳ないじゃん」 「エスポワールって読むんです。フランス語で希望って意味らしいですよ」 由希と2人で看板の読み方に四苦八苦してると、美咲がそう教えてくれた。 希望……か。 今の私とは程遠いかも。 油断すると直ぐにネガティブな考えになっちゃう。 ダメだなぁ、私。 「名前が分かったところで、店に入ってもいいかな?」 美咲の叔父さんがニコニコしながらそう言う。 私と由希は苦笑いしながら頷くと、叔父さんはドアを開けて私達を先に通してくれた。 店内に入ると、直ぐにホステスのお姉さんが叔父さんに挨拶をして席に案内してくれた。   さすが銀座! ホステスのお姉さんも綺麗。 お姉さんって言っても、きっと私より年下とかだよね。   そこはテレビで見るキャバクラみたく広くはないけど、上品で豪華なお店だった。   当然ながら、キャバクラどころかクラブに行った事ない私と由希は、あまりにも日常とは別世界なこの空間に思わずキョロキョロしてしまう。   「ママはいるかな?」   叔父さんが案内してくれたホステスのお姉さんにそう聞いている。 「島崎社長、申し訳ありません。ママから先程少し遅れると連絡がありまして、そんなに時間は掛からないとは思いますが、ママが来るまで私がお相手させて頂いても宜(よろ)しいでしょうか?」 「構わんよ。薫(カオル)ちゃんがついてくれるなら、大歓迎だよ」 叔父さんの柔らかそうな物言いに、薫さんと言うホステスのお姉さんはニッコリ笑うと席に着いた。 「薫さんはこのお店のナンバーワンなんですよ」 美咲が丁寧にテーブルに着いたホステスのお姉さんの説明をしてくれる。 私と由希ときたら、借りてきた猫の様に美咲や叔父さんの言葉にただ頷いて聞いているだけ。 生まれて初めての体験だからかもしれないけど、正直この空気慣れないや。 さっきまであんなに面白がってた由希ですら、完全にこの雰囲気に飲み込まれているみたいでおとなしくしてる。 美咲だけはさっきまで何だかんだと言ってたけど、叔父さんに何回か連れられて来てるせいか、全然この状況に物怖じしていなかった。  
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1043人が本棚に入れています
本棚に追加